Park Directがつくる社会の「選択肢」~ミッションである「社会の解像度を上げる」挑戦とは~
株式会社ニーリー代表取締役の佐藤養太です。
当社は「社会の解像度を上げる」をミッションに掲げ、プロダクトとしては月極駐車場のオンライン契約サービスを提供するモビリティSaaS「Park Direct(パークダイレクト)」を展開しています。
この記事では、私たちがなぜ「社会の解像度を上げる」というミッションを元に、Park Directというサービスを提供しているのか、私やCHROの髙橋から事業全体や今後の展望も含めて、詳しくお伝えしたいと思います。
1, ニーリーが掲げるミッション「社会の解像度を上げる」とは
まずは私たちが掲げるミッションを策定した当時の背景について説明させていただきます。
ミッション策定を検討した当時、社員はまだ10名もおらず、Park Directの事業売上は祖業であるインキュベーション事業(大手事業会社・スタートアップの新規事業創出を支援)に遠く及ばず、という状況でした。
また、(会社や経営者によって見解が異なるものと理解してますが)私自身としてはミッション=不変のものとして、会社にとっても従業員にとっても一定解釈の幅があり、かつ将来的に多方面に事業を展開していったときにも違和感がないようなものにしたい、と考えていました。
そうした背景のもと、当時の役員とコピーライターの方と議論を尽くし、「社会の解像度を上げる」というミッションの策定に至ります。
ミッションの話をする際に私はよく、2つの話をします。1つは新聞広告の作品について、もう1つは「選択肢の数と幅を増やしたい」というものです。
”事実”の「捉え方」は1つではない
桃太郎サイドからみれば「鬼がいなくなって幸せ」
鬼の子どもからすれば「自分の親がいなくなり不幸」と
「鬼が死んだ」という事実は変わらないけれど、その事実の「捉え方」はそれぞれの視点で全く異なります。
私たちは常にこの視点を持ちながら、展開する事業やその事業に関わる人々にサービスを提供・展開していきたいと考えています。
なお、この考え方を言葉にしているものが採用サイトに記載されています。ぜひ、一読いただけるとありがたいです。
選択肢の数と幅を増やす
もう1つの「選択肢の数と幅を増やしたい」ですが、よく比較するのは「選択回避の法則」所謂「ジャムの法則」です。
選択肢が多すぎるとその中から決定・選択することを回避してしまう心理現象があります。このため、マーケティングではこの場で決定してもらう・選ばせるために選択肢を絞る、ということを意図的に行うことがありますがこと人生において、今この瞬間に自身にとって選択肢が多い方が間違いなく良いだろう、と考えています。
私たちが介在することで今まで選択肢とならなかったものを選択肢にしていく。それこそが当社が存在する価値だと考えています。
2, Park Directが提供する選択肢
このミッションのもとに提供しているサービスが「Park Direct」です。
Park Directが顧客に提供している本質的なものは何か。それは時間、です。
駐車場を借りる方はこれまで、問い合わせをしてから契約に至るまで約2週間を要していました。Park Directを利用することにより最短約20分での契約締結が可能になります。
また、Park Directで駐車場管理をされる管理会社様は、これまでの管理から解放され、駐車場業務にかける業務時間が最大92%削減されます。
Park Directを利用することにより、借主様や管理会社様の可処分時間を創出し、より個人や会社様にとって大事なことに時間を割くことができます。
以下で詳細を説明します。
月極駐車場のビジネス構造とPark Directの存在
月極駐車場の構造として、まず土地を駐車場として運営したいオーナー(地主)様がいます。オーナー様ご自身で集客から管理、賃料の回収や問い合わせ対応をするのは非常に手間がかかり、個人間のやり取りはトラブルのリスクもあるため、基本的には不動産管理会社様(以下、管理会社様)に駐車場管理を委託します。
委託された管理会社様は借主である駐車場ユーザーの方に向けて、問い合わせ対応から契約、賃料収納など様々な業務を代行します。
Park Directは月極駐車場の各種手続き(募集、申込対応、審査、契約手続き、賃料回収、収納代行、各種書面の発行、更新・解約、コールセンターによる問い合わせ対応)をすべてオンライン上で完結し、管理会社様の駐車場管理にまつわるムダなコストや業務負荷を大幅に削減するとともに、借主様にとっても駐車場が探しやすく契約や月々の支払いがラクになる、BtoBtoCのサービスです。
2-1 管理会社様が抱えている課題
”業務の煩雑さ”
管理会社様にとって、オーナー様から預かった大切な土地である駐車場の管理は重要だけれども、宅建業法下の家を借りる契約と駐車場法下の駐車場賃貸借契約との違いは重要説明事項があるかないかしかなく、駐車場の契約も物件と同じような業務負荷がかかります。一方で、売上の観点でいうと物件管理の方が圧倒的に大きく、どうしても駐車場管理にリソースを割く優先度が上げにくく、デジタル化が進みづらい構造になっていました。
そのため、月極駐車場の申込・契約や管理業務は、従来からのやり方のまま、電話、郵送、店舗での対面など、いわゆる「オフライン」を手段として行われていました。
”集客”
駐車場においては現地に設置する「看板集客」がメインです。看板を見た借主様から電話や来店があるのを待つしかなく、場所によっては契約が決まらずに稼働率が低くなっていることもあります。駐車場管理の売上自体が少なく、オンライン集客のために広告出稿するという選択肢もありませんでした。
◆Park Directが管理会社様の「解像度」を上げる
Park Direct導入によって、管理会社様は92%以上の業務削減が可能です。
効率化可能な業務を以下にまとめています。
グレーで示されている部分は、すべてPark Directで完結することができます。
当社はPark Directを通じて、管理会社様の業務負荷を削減し、借主様の手続きの煩雑さを軽減したことにより、選択できる総量(≒可処分時間)を増やしています。
とある管理会社様の話ですが、Park Direct利用により創り出せた時間で高齢者の入居者様のお1人世帯への訪問を始めました。
何年、何十年も滞納なく入居いただいている方のケアに本当は時間を割きたいのに、今まではそれができていなかった。Park Directを導入いただいたことによってそれができた、とご報告いただいたこともあります。
集客においては、現地の看板からの問い合わせのみだったものが、Park Directのサイト上に掲載することによって、オンラインでの検索が可能になります。GoogleMapにも駐車場情報が掲載されているため、より借主様が見つけやすい方法でのオンライン集客が可能になり、実際に駐車場の稼働率もUPしました。(※GoogleMap上でのPark Direct掲載駐車場の表示は累計4億ビューを超えています)
◆管理会社の悩みに合わせて選択肢を増やす
自社の開発体制で週次のシステムアップデート
そもそも、なぜこれまで月極駐車場のテックサービスが生まれなかったのか。それは契約が非常に複雑なことにあります。管理会社が違えば契約の細かな条件は異なります。
例えば消費税率の違う時期に契約した借主様で賃料が違っていたり、軽自動車区画と普通車区画で賃料が変わっていたりなど、同じ駐車場でも個別の対応が必要になります。日割家賃についても、計算方法や条件は会社によって異なり、複雑です。だからこそ、誰もDX化に手を付けられなかった状態でした。
Park Directでは、全て内製で自社開発を行っています。お客様の課題が上がるたびに新たな機能を追加して対応しており、よく驚かれるのですが、本当に毎週何かしらのアップデートが行える開発体制を築いています。
結果、複雑な手続きが必要になる月極駐車場においても、お客様に合わせたサービス提供をすることが可能になっているのです。
より便利なサービスを作るための業務提携
システム面だけでなく、サービス面でも業務提携という形で様々な選択肢を提示しています。
例えば、日本セーフティー株式会社、ニッポンインシュア株式会社と業務提携し、駐車場の契約に関する賃料保証サービスの提供を開始しました。管理会社様は借主様の支払いが無かった場合、保証会社との契約締結や別途の利用料の必要なく、賃料保証できるようになりました。
管理会社様の課題に対する解像度を上げた結果、新たな開発やサービスの拡充が必要だと判断すれば、スピーディーに実装するプロダクトの強さを持っています。
2-2 借主様が抱えている課題
次に、駐車場借主様の視点でご説明します。
”駐車場を探す手段が限られている”
アパートやマンションなど居住用の住まいを探す場合は、まずはSUUMOやホームズなどの物件情報サービスで調べてみる、という方がほとんどではないでしょうか。
賃貸の場合、管理会社様はSUUMOやホームズなどポータルサイトに管理物件の情報を掲載して集客を行うため、借主側もサイト上で借りたい物件の情報を見つけることができます。
しかし「駐車場」においては、インターネット上に情報はほぼなく、たとえあったとしてもその情報は古いままであるケースも多いです。
基本的に集客は現地に設置してある「看板」のみ。そのため月極駐車場を探す際には、契約したい地域(多くは自宅や職場のなるべく近く)を歩いて周り、看板の写真をスマホで撮影し、後から管理会社に電話をするという流れが一般的です。しかも掲載されている情報は管理会社の電話番号のみで、空いているのかも分からず、賃料も見当がつきません。これを複数の駐車場で繰り返すことになります。
”契約手続きが面倒”
看板を見て電話をし、空車が確認できて契約すると決めた後も、煩雑な手続きが待っています。現状ではまだほとんどが紙での契約のため、管理会社の店舗に出向いたり、郵送を繰り返すなどの手間がかかります。FAXで契約者情報を送って欲しいという場合もあります。
借主様にとっても駐車場を借りることは、すべきことではあるけれどやりたい事ではないはずです。
”支払い方法の選択肢がない”
賃貸住宅や駐車場において、支払いは基本的に銀行振込や口座振替が大多数。中には、管理会社様が指定する銀行や信用金庫の口座を作成して入金しなければならないケースもあります。クレジットカード決済ができる契約はほぼなく、支払い方法においてクレジットカードという選択肢がないことは、ユーザーの満足度を下げる要因になると考えています。
◆Park Directが借主様の「解像度」を上げる
これらの借主様の課題も、Park Directではすべて解決しています。
駐車場探しにおいては、Park Directのサイト上で検索することで、場所、値段、条件、空車状況ともに”今具体的に契約できる駐車場の在庫”の最新の情報が手に入り、どこを契約するかを見比べて選択することができます。また、GoogleMap上からもPark Directに掲載の駐車場を探すことができます。
そして契約も、すべてオンラインで可能です。
Park Directサービス開始後、一番最初にご契約いただいた借主様にインタビューを実施したのですが、「転勤が決まり、新幹線での移動中に駐車場探しから契約まで完結した」とおっしゃってくださり、この借主様がまさに我々が目指していたことを体現されていて、インタビュー時にとても感動したことを今でも覚えています。
支払いについても、Visa、Mastercard、JCBなど主要クレジットカード6社と提携しており、借主様の選ぶカードでの支払いが可能です。
また、2022年11月よりPark Direct契約者専用のクーポンを発行するなど、新しいサービスも始まっており、今後より借主様にとって使いやすいサービスを目指しています。
3,Park Directのポジショニング
オンライン契約というと、最近はあらゆるサービスが出てきているので利用したことがある方も多いかと思います。駐車場契約でいうと、集客・契約・決済・管理というそれぞれをオンライン化するプレイヤーは存在していましたが、駐車場探しから契約、決済、管理まで全てのプロセスを一気通貫でオンライン化しているのが、Park Directの大きな特徴です。
駐車場のビジネスモデルを考えたときに、管理会社様は一部ではなく全てを任せたいというニーズが高いため、それぞれのオンラインサービスが競合という考えはありません。Park Directの24時間365日のコールセンター体制や複雑な駐車場契約のシステム化という開発の面で、自社開発のプロダクト改善スピードなどを考えても、当社の優位性は高いと考えています。
4、Park Directにおける「社会の解像度を上げる」とは
借主・管理会社双方の解像度を上げる
当社がPark Directを通じて借主様や管理会社様、オーナー様に対して数々の選択肢を提示し、それにより可処分時間を増加させることができれば、その創り出した時間をより重要度の高いものに割くことができ、結果としてより自由に、かつ自分に最適な解を選択できる社会の実現に寄与できることとなります。
それこそが私たちが実現したいミッションであり、Park Directが存在する意義だと考えており、「社会の解像度を上げる」ため、このような価値提供が行える事業(≒選択肢の提供)を今後とも創り出します。
まとめ
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