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ニーリーの能力開発と人事ポリシー/人事制度を公開します

株式会社ニーリーCHROの髙橋俊樹(たかはしとしき)です。
現在人事部にて、戦略人事、採用、労務、広報、総務など、人事関連を中心とした部署の管掌をしています。

ありがたいことに2022年は70名、2023年は約50名の方に新たに入社いただき、組織が急激に拡大しています。今回は急拡大するニーリーで、採用面談の際にご説明する機会の多い「ニーリーの人事ポリシー・能力開発システム・人事制度」をご紹介します。

想定している読者

・ニーリーに興味を持ってくださっている採用候補者の方
・ニーリーに在籍している従業員
・人事制度の設計や人材開発の方向性に困っている担当者(経営者や人事)の方

1.ニーリーの人事ポリシーとは


人事ポリシーを設定する上で前提としているのが、『社会の解像度を上げる』というMissionです。

ニーリーはメイン事業であるモビリティSaaS「Park Direct(パークダイレクト)」を中心に、事業を通じてクライアントやユーザーの解像度を上げる(持ち得る選択肢を増やす)ことに取り組んでいます。
また、それだけではなく組織運営や従業員との関係性を通じてどのようにMissionを実現するのか?という指針を組織コンセプトとして設定し、さらにそれを実現するための人事ポリシーを設定しています。

ミッションと人事ポリシーの関係性


①:いいチームをつくり社会課題解決に取り組むこと

社会の解像度を上げるということは社会で発生している様々な社会課題を解決していくことだと考えています。一方で何かの社会課題を解決しても、また新たな社会課題が発生し、永遠に社会課題は無くならないとも思っています。次々と発生する社会課題をできるだけ早いスピードで解決していくためには、自社事業だけではなく社会全体で課題解決できるチームをたくさん作っていくことが重要で、ニーリーの「いいチーム」で社会課題を解決した人たちが、自社から出てもまたどこかで「いいチーム」を作り、別の社会課題解決に取り組むという人材のエコシステムが社会の解像度を上げることに直結すると考えています。

②:ニーリーの従業員一人一人が持てる選択肢を広げること

ニーリーの従業員も、当然ですが社会を構成する一員です。すごく単純化すると、働くということにおいて、持っているスキルが高ければ高いほど持ち得る選択肢は広がると考えています。ニーリーで働く従業員の皆さんには、「どんなところにいても・どんなライフステージになっても市場価値が高いビジネスパーソンであっていただきたい」、「それによって人生においてより多くの選択肢を持てる人であっていただきたい」と考えています。
事業を成長させていく手段としてももちろんですが、これら①②の組織コンセプトを実現する手段として、ニーリーは「従業員への成長機会の提供」に対して投資していくことを人事ポリシーとしています。

2.「期待をかける」能力開発


従業員の成長実現においてニーリーが大事にしているコンセプトは「期待をかける」ということです。

能力開発を実現するコアサイクル

「期待をかける」と一言で言っても、単に「君には期待しているよ」というだけでは何の意味もありません。ニーリーにとって「期待をかける」とは、一人一人に対して「今はできないかもしれないけど、あなたなら届くと思っているよ」という役割を渡すことだと考えており、これを組織として再現性をもって行うために、以下の4つの段階に整理した上で具体的な施策に落とし込んでいます。

①:期待を明らかにする

後述するグレードごとの等級要件定義をベースに、どんな役割や業務をお任せするのかを設定します。その際に、直属のマネージャーだけに人物の見立てを依存しないよう、半期に一度、マネージャー以上全員が参加するキャリア開発会議(※詳細後述)や期初ミッションレビュー会を通じて、複眼での期待値設定を行っています。

②:期待を正しく伝える

明らかにした期待値を個々のメンバーに正しく伝え、「マネージャーが抱くメンバーへの期待値」と「伝えられたメンバーが認識している期待値」が一致している状況にすることが、非常に重要だと考えています。このプロセスがないと、例えば本人が期待通りの役割を果たしていると思っていても、マネージャーが期待しているレベルには達しておらず、結果的に低い評価がつく、という非常に不幸なコミュニケーションが発生してしまいます。これが評価に対しての納得感の低さや会社に対しての不信感にもつながるため、どのような言葉で期待を伝えるのかということに対しても、非常に強いこだわりをもって取り組んでいます。
ニーリーではHRBrainというサービスを利用して「キャリア開発シート」というものを作成しています。(※画像参照)

キャリア開発シートの構成(①キャリア開発パート)


キャリア開発シートの構成(②今期のミッションパート)


このシート上では、

・今期どのようなテーマを担って欲しいのか?
・それを実現するためのプロセスをどのように設定するのか?
・各テーマにおける達成基準はどういう状態か?

という具体的なお仕事内容について擦り合わせるミッションパート(キャリア開発シート下段)と、

・半期のお仕事を通じてどのような状態になっていてほしいか?なっていたいか?
・そのための能力開発におけるテーマはなにか?
・それを実現するために具体的にどのようなプロセスを踏むのか?

という能力開発パート(キャリア開発シート上段)についてのすり合わせを行います。

基本的には期初(上期は1月・下期は7月)にマネージャーがメンバー全員分のシートを作成し、ミッション設定の面談を一人ひとりと行います。メンバーはここで設定されたミッションに期待された役割をベースに、半年間業務に臨んでいただきます。

③:期待通りに任せる

次に、期初にお伝えした期待通りに、きちんと任せ続けるということを意識的に行っています。事業が急成長している環境であることや、マネージャー自身も忙しいと、期初の期待よりもはるかに高い要望をしてしまっていたり、逆に期待を下げてしまったりということが発生してしまいます。きちんと伝えた通りに任せられているのかをチェックする方法として、日々の1on1モニタリング会議の他に、マネージャーとの中間面談を4月(上期)と10月(下期)に実施をしています。

中間面談では、期初に設定したミッションパートと能力開発パートについての中間進捗についての確認を行います。この面談を通じて、期待についての目線合わせと、残り3ヶ月(1Q)でどのように達成に向けてアクションをしていくのかということをより具体化し、マネージャーとメンバー間ですり合わせを行います。

④:期待に対して振り返る

期待に対してどうだったのかという振り返りを行います。期初に設定したテーマが達成できたのか?できなかった(できた)としたらそれは何が要因だったのか?ということをマネージャーと棚卸しすることで今後の能力開発や、次半期の期待のかけかたについて、すり合わせの場を設けています。

ビジネスパーソンとしての成長を実現するためには、「経験学習サイクル」という考え方が非常に重要だと考えています。経験学習サイクルのプロセスの中でも特に内省→概念化(できたことやできなかったことを振り返り、学びとして定着させるプロセス)について、上長と深めていただく場として振り返り面談を設けています。また、複眼で期待のアップデートを行う目的で、査定会議等級決定会議をマネージャー以上全員が集まって実施しています。この①〜④の能力開発プロセスを、半年間かけて実施しています。
以下が具体的な年間の人事イベントサイクルです。

※キャリア開発会議について

キャリア開発会議は4月と10月に、マネージャー以上が全員集まり、全メンバーに対する能力/キャリア開発を議論する会議です。2023年上期(4月)に実施したときは約30時間の時間をかけて実施しました。

キャリア開発会議の様子(一部オンライン参加)

マネージャー以上が全員参加するというかなりハイカロリーな会議なのですが、

・人物の見立てや能力開発の引き出しをマネージャーの属人性に依存させない
・従業員の能力/キャリアの開発に責任を持つのは直属のマネージャーだけではなく、組織全体で能力開発をしていくカルチャーの浸透を促す

という目的のもと、全員が事前準備も含めて強くコミットしてくれています。

3.「期待」をベースにした人事制度


「期待をかける」能力開発のコアサイクルを支える屋台骨として設計した、ニーリーの人事制度について紹介します。
※前提:人事制度について
「人事制度」は等級制度・評価制度・報酬制度の3要素で整理しています。今回は主に「等級制度」と「評価制度」についてお話しします。

人事制度の全体像

①:等級制度の特徴

等級制度は大きく、職能等級・役割等級・職務等級の3パターンがあり、役割等級はその中でも人基準か、仕事基準かによって2パターンに分類し、合計4つのパターンがあると整理しています。その中でニーリーは「(人よりの)役割等級」を採用しています。

人よりの「役割等級」の特徴としては、たとえ能力が足りていなくても、期待してその役割をお渡しするのであればグレード(等級)が上がる(=報酬が上がる)という考え方です。これによってよりスピード感をもった機会提供を実現し、成長角度を高めることができると考えています。

②:グレード(=等級)について

グレードは「経営に与えるインパクトの大きさ=成果創出における不確実性の高さ」を基準に設計しています。

「不確実性の高さ=アジェンダの抽象度×ステークホルダー数」と整理し、それを各グレードの職務要件に反映しています。
そのため、上位グレードにいくほど巻きこむステークホルダーが多くなり、取り組むアジェンダの抽象度が高くなる設計になっています。

③:グレード決定について

グレードは7月と1月に実施する等級決定会議にて決定します。等級決定会議はマネージャー以上が全員参加し、査定会議の結果を踏まえ各メンバーの期待値見立てを行います。
期待値の見立てを行う際には現行グレードや次のグレードに対して何のポイントが差分になっているのかを明確にすることが重要です。マネージャーとメンバー間での共通言語を持つ観点で、ニーリーでは各グレードに求められる要件をスキルとスタンスに分解し、それぞれのレベル感を定義しています。

例えば一例として、G2の要件を満たしているメンバーが次のG3を目指していくにあたって、「プロセス設計」が課題になっている場合、「次の半期は自身の担当業務におけるマイルストンを引いて、納期遅延がないように業務完遂することができていたら、G3を任せていけそうだね」という会話が等級決定会議の場で行われます。これはもちろんメンバーの能力開発テーマと連動しており、マネージャーとメンバー間でのすり合わせが行われています。

④:評価について

評価は大きく二種類あります。

①半期のミッションに対しての評価(=賞与にヒットするもの)
②半期踏まえた期待値の見直し(=翌半期のグレード(給与)にヒットするもの)

②は前述した通り等級決定会議にて評価が行われます。①は、期初に設定したミッションの達成度合いに応じて7月、1月に査定を行います。期末のタイミングで事前にメンバーとマネージャー間での評価のすり合わせを行い、その結果をマネージャーが査定会議に持ち込む形で最終評価(D〜SSSの9段階)が決定します。


具体的には、
a)達成基準に照らし合わせ、設定されたミッションごとの項目評価
b)ミッションウェイトを考慮した加重平均によって評価素点が1.0〜5.0の間で決定
c)素点(1.0~5.0)→評価(D~SSS)の対応表に応じて最終評価決定
d)評価結果により評価係数(例えばA評価であれば1.0)が決定
e)理論賞与金額(月収の1.5ヶ月〜2.5ヶ月)×評価係数=支給賞与額が決定
という流れで半期の賞与額が決定します。

⑤:まとめ

人事制度全体の概念をまとめたものがこちらです。前述の能力開発のコアサイクルと連動しているフローになっています。


4.最後に


人事制度はあくまでマネージャーのための支援ツールであり、マネージャーが日々のメンバーとのコミュニケーションで期待をかけ続けられるのか?何をメッセージし続けるのか?ということが非常に重要だと考えています。

ニーリーでは人事ポリシーやマネジメントのポリシーの浸透・定着していくプロセスとして、一つ一つの人材開発議論の場を非常に大事にしており、各会議においてマネージャーが緊張感を持って臨んでいただけるように意識をしています。制度の運用を始めて約1年半(2024年1月現在)ですが、新任マネージャーもかなり精度高く運用してくれており、実現したい人事ポリシーの骨格が徐々に形成されてきているなと感じています。


株式会社ニーリー CHRO 髙橋 俊樹 Toshiki Takahashi

2015年株式会社リクルート住まいカンパニー(現株式会社リクルート)に入社。自社採用担当として新卒採用を担当したのち、採用統合における採用要件定義の策定や選考設計などを含めた全体統括を務める。2018年より親会社(株式会社リクルート)の人事戦略部に出向。PMとして全社のデータドリブン人事を推進し、全社表彰(FORUM)を受賞。2019年、美容事業の事業企画に異動し、中期事業計画の策定を担当。2021年GMに就任し、中長期戦略の立案・実行を牽引。2021年10月より、ニーリーに参画。CHROとして採用/労務/広報/総務/戦略人事の部門を管掌。


ニーリーでは、事業拡大に伴う組織強化のため、多様な職種で⼈材を募集しております。
詳しくは、採用特設サイトをご覧ください。
採用特設サイト:https://jobs.nealle.com/

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