「決断」の数が成長につながる会社 ~ニーリー、新卒採用始めました!~
ニーリーは2024年初めての新卒採用を行いました。
この記事は、まさに今就職活動中の就活生や、これから就活を迎える学生の皆様に読んでいただきたいと思い、CHRO髙橋へのインタビュー形式の記事にしました。就職活動の中で、明確な目標ややりたいことが見つかっていなかったとしても、いまの自分から何かを変えたい、もやもやしているエネルギーを全力でぶつけられる環境に身を置きたい、そう思う方にぜひニーリーを知ってもらい、選択肢の一つにしていただけたら嬉しいです。
ニーリーが新卒採用を始めた背景~打席の多さを最大限活かせるフェーズに~
——これまでもインターン経由での採用を行っていたと思いますが、本格的に新卒採用を始めると決めたのは、どのような背景があったのでしょうか?
■決断の打席数が成長につながる
高橋:一言で言うと「決断の打席数」が多い会社だからこそ、その機会を最大限活かせる新卒の方に来ていただきたいと思っています。
なぜ今なのか、というと、これほど事業成長をしていて打席に立てるチャンスが多いフェーズの会社なので、いずれは新卒の方を採用したいなとは思っていた一方で、打席がたくさんあるだけではだめで、それを最大限活かせる組織/受け入れ体制になっているかは大事だと考えていて、今そのタイミングがきていると感じたためです。
なぜ成長において決断の打席数が大事なのか?という話は、ニーリーにおけるグレード(=どういう人に高い年収を払うのかを段階的に表したもの)の考え方が根底にあるので、そこで改めて説明します。
■“市場価値が高い”状態とは
——ニーリーにおけるグレードの考え方を聞かせていただけますか?
高橋:グレードを考える際に大事にしているのは、市場価値の高い仕事=報酬が高い仕事とはどういうものなのか?という観点です。これを、私が昔アルバイトしていたカフェチェーンの仕事で考えてみると、以下のような整理になるのかなと考えています。
・相対的に報酬が低い仕事
オペレーションマニュアルに則って、マニュアル通りにだけ行う仕事
→どうすれば期待されている価値を提供できるのかといった点が明確
→当時自分がアルバイトとしてやっていた仕事
・相対的に報酬が高い仕事
店舗の売上を上げるためにファンとなる顧客層を作るため、施策を考えて実行する仕事
→どうすれば上手くいくかが明確ではなく、また店舗全体を巻き込んだ施策になる
→当時店長やエリアマネージャーがやっていた仕事
◾️市場価値=成果に対する不確実性の高さという考え方
全社的な能力開発の取り組みについてはニーリーの能力開発・人事ポリシーについてのnoteをみていただきたいのですが、ニーリーにおけるグレード定義は「市場価値」を意識して設計しています。
※これはあくまでニーリーというか私自身の思想が反映されている部分も大きいので、世の中の市場価値の定義と違うということはありうる、という前提で読んでいただきたいです。
先ほどの例を踏まえ、市場価値をどのように定義しているかというと「成果に対する不確実性の高さ」を基準にしています。つまり、テーマが抽象的になればなるほど(①イシューの抽象度)、関わる人が増えれば増えるほど(②ステークホルダーの数)、成果に対する不確実性が高くなる、と整理をし、これらをグレードの段階として設定しています。
この考え方を前提としているので、ニーリーでより高いグレードを目指していただくことで市場価値が高まっていくと考えています。
◾️決断の数だけ市場価値向上につながる
高橋:同じ「決める」ということにも「決断」と「(合理的な)判断」の2種類があると思っていて、「決断」の経験回数こそがより不確実性の高い仕事を仕掛けていける、市場価値の高いビジネスパーソンになる上で重要だと考えています。
なぜスタートアップでは決断の打席数が多いと言えるのかというと、これは、①事業の成長”率”が非常に高く、新しいことを仕掛けやすいこと ②組織としての仕組みが未成熟であることに起因していると考えています。
我々のようなスタートアップ企業においては、カオスと表現されるように日々が新しいことに対しての意思決定の連続になっています。私自身もニーリーに入社するまで就業規則を作ったこともなければ、人事制度の策定もしたことがなく、労務対応もしたことはありません。ですが、事業成長のために向き合わなければいけないアジェンダがたくさん発生するので、常に情報の不完全性が高い中での意思決定が求められます。
一方で、私自身新卒では大企業に入社して感じましたが、大企業では不確実性を下げるための仕組みがしっかり整っています。(これはニーリーが目指さなければならないことだと思っています)また、思い切った投資が踏みづらく、既存事業売上の比率が大きいため、過去の事業運営で得られた事例や知見などを活用して、合理的判断ができるような情報が揃っている状況になりやすいと考えています。しっかりとした稟議プロセスも整っているため、「自分のケツは自分で拭く」というコミットメントの中で情報の不完全性が高い意思決定を若いうちから積みづらい構造にあると考えています。
打席を成長につなげる、「経験学習理論」をベースとした成長環境
——冒頭で「打席がたくさんあるだけではだめで、それを最大限活かせる組織/受け入れ体制になっているか」という話がありましたが、どういう意味でしょうか?
◾️個々人に合わせた打席アレンジと振り返りの重要性
高橋:人の成長を考える上では、「経験学習理論」を参考にしています。簡単に説明すると、背伸びしないと届かないような挑戦をすることと、振り返りを通じて、より難しい仕事に挑めるようになるという学習方法です。
経験学習をうまく回すコツとして、①適切な難易度の挑戦か ②適切な振り返りができているかという2つのポイントがあると考えています。
①適切な難易度の挑戦か
スタートアップあるあるで、「とりあえず打席を渡しておけば人は成長する」という考え方で高い要求をすることで人が潰れてしまうという話はよく耳にします。また、これはスタートアップだけで発生する問題ではないですが、放任主義で上長が適切に介在せず、渡した機会の難易度を調整できていない場合も同様です。
例えば、100の実力を持った人に対して200の実力が必要な打席を渡した場合、進捗している自覚を持てないことや、会社/周囲に対して貢献できている実感が持てないことで、挑戦する意欲そのものを奪ってしまうという話は、人材開発においてよく耳にする話です。
ニーリーにおいては、キャリア開発会議など、定期的・かつ複眼で、いちメンバーが現在どれくらいの実力値にいるのか、どういった仕事であれば成果を出せそうかを見立てることに対して非常に力を入れています。これを定期的に行うことで(仕事ではなく)メンバー自身に対して意識を向ける習慣をつけることや、複眼で行うことで人物の見立てをマネージャー一人に依存させないことを意識しています。
②適切な振り返りができているか
「振り返り」と言った時に、まず振り返るための起点を作ってあげること、その起点が成果/業績起点ではなく学び起点になっていること、がとても重要だと考えています。
業績目標が起点になっている場合、数字が達成していてもこの仕事面白くないなと思ってしまうケースや、数字が達成していない場合に無能感に苛まれてしまい離職につながってしまうケースなど、組織や本人にとってネガティブなことが発生してしまっています。
これを回避するのが学びを起点としたアプローチです。
「3人のレンガ職人」の話は、仕事への意味付けの話として有名ですが、レンガを積むときに特にスピードを意識してみようとか、丁寧さを意識してみようみたいな話をマネージャーがメンバーに伝えるのが大事だと思っています。レンガを積むというアクションにおいて、「早く積む」と「丁寧に積む」では、使う筋肉や思考が違うじゃないですか。
「あなたに今足りないのは丁寧さだから、それを意識しようね」と伝えて取り組んでもらう。終わったら「今回レンガを積んでみた結果、丁寧にできていただろうか」という振り返りをしてあげるのが大事だと思うんです。
この時、「早く積む」ことも「丁寧に積む」ことも大事だから全部意識してやってみようと言うのではなく、一つのことに集中して取り組んでもらうことが重要であり、振り返りのポイントを日々意識できることが重要です。
「レンガが積めた」という結果が営業成績だと考えると、同じ営業成績を出せたとしても、そのプロセスにおいて何を意識したか、これによって自分自身にどんな変化があったのかがとても大事ですよね。それを意識してもらうのが、半期ごとに取り組んでいるキャリア開発シートを活用したマネジメントであり、この運用をしっかり行うことが大事だと考えています。
これら二つの観点を抑えた経験学習サイクルのマネジメントが組織に定着してきたこと(2022年下期から運用開始しているので、この7月で丸2年になります)、またありがたいことに内部からのマネージャー登用が増え、各メンバーに向き合うことができる体制が整ってきたことが、新卒採用を本格的に開始するための大きな後押しになりました。
「やりたいことがない」という場合に
——やりたいことがない、という学生に対してどんな話をしていますか??
◾️計画的偶発性と内発的動機
高橋:将来実現したいことは今の時点で決まっていなくていいと考えていますし、すごくラフに言うと、挑戦的な仕事に取り組んでいれば結果的に内面からやりたいと思える仕事に出会える可能性が高くなるのでは、と思っています。
プランドハップンスタンス(計画的偶発性)といって、キャリアの8割は偶然の出来事によって左右されるという考え方があります。世の中で上手くいっている(ように見える)人たちも、このタイミングでこれを経験して次はあれをやって....みたいな形で逆算していたわけではなく、結果的にいろんなことを経験したら今のキャリアになっていた、ということだと思っています。
※そもそもキャリアという言葉はラテン語の轍(わだち)が由来であり、振り返ったらそうだったという結果的なものだと理解しています。
じゃあどうやって本当にやりたいと思える仕事に出会えるのか?
人間には外発的なモチベーションと内発的なモチベーションがあると言われていて、内発的なモチベーションで物事に取り組んでいる方が、より高いモチベーションでいられるといわれています。「今の仕事が本当に楽しい」と言っている人は、この内発的なモチベーションによって突き動かされています。
この内発的なモチベーションを生み出すには何が大事なのかを研究し、提唱しているものとして自己決定理論があります。内発的モチベーションを生み出す要素として厳密には3つの要素があると言われているのですが、その中でも自律性≒自分の意思で決断をしていると感じられること、が特に重要だとされており、そう言った意味でも決断の打席に立つ経験を多く積んでいくことが、本当に自分がやりたいと思えることに近づいていくアプローチになるのではないでしょうか。
ニーリーの第一号新卒はどんな人?
——24年新卒でも一名入社いただいていますが、どんな方なんでしょうか?
◾️ラベルではなくその人をちゃんと見たい
高橋:24年新卒の和田さん(入社エントリはこちら)がガクチカとして主に話してくれたのが、コロナの予防接種会場でのアルバイトの話だったんです。その話を中心に聞いていって、「ちょっと今のニーリーとはフィットしないかもしれない」と思っていたのですが、面接時間終了間際に高校時代の部活動の話をしてくれました。
それを聞いたときに、和田さんの本当の良さは今日話してくれたエピソードでは理解できていないのかもとおもい、あえてストレートに「今日の面接だと和田さんの良さが伝わりきらなかったんですが、最後に話してくれた高校時代のお話しの中に和田さんの良さがあるんじゃないかなって感じました。今回の面接結果としてはフィットしないかもと思っているんですが、もしもう1回話したいと思ってくれているなら、もう一度整理してきてもらったうえで話しましょう」と本人にお伝えしました。
そうしたら和田さんが食い下がってきてくれたんですよね。改めて高校時代のマーチングバンドの話を聞いたら、彼女の魅力的な部分をすごく感じることができました。未経験でマーチングバンドの部活動に入って、レギュラーを目指してめちゃくちゃ練習していて。わざわざ困難な環境に身を置いて、目の前の目標に向かってがむしゃらに努力する姿勢がすごくいいなと思ったんですよね。和田さんの場合って、理論武装して自分をよく見せようというわけではなくて、素直に自分の話をしようとか、きちんと向き合おうとする姿勢を持っていたので、こういう人こそニーリーに入ってほしいなと思ったんです。こういう人がガクチカのエピソードだけを聞いてお見送りされる世界観って、すごく嫌だなと思ったんですよね。
和田さんは本来すごいエネルギーを持っているし、その向かう先がどこになるかによって今後の人生が大きく変わる方だなと思って。ニーリーだったら環境を提供してあげられると思ったんですよね。
和田さんのような人がニーリーで活躍できたら、いわゆる就活強者の学生さんを採用するより、すごくニーリーっぽいなと思ったんです。
そういう人たちは私たちが機会を提供しなくても、他社で魅力的な機会に出会える、他社での機会の方がマッチしている方々もたくさんいると思います。でも和田さんはニーリーでこそ活きる方なんじゃないかと感じました。いわゆる就活無双している学生さんより、そうした人に機会を与えられる会社のほうがいいなと思っているんです。
就活生へのメッセージ
——新卒入社の社員に期待することはどんなことでしょうか?
◾️戦略の選択肢を増やせる人になってほしい
高橋:組織は戦略に従うか、戦略は組織に従うかみたいな話がありますが、個人としては組織は戦略遂行に合わせて編成されるべきだと思っているんです。でも、組織を構成する人によって、そもそもの取り得る戦略がまったく変わるという感覚があるんですよね。
(あえて対比で表現すると)これを担ってくれるのが新卒の人たちだと思っています。当然ですけれど、中途採用は面接で過去の経験を聞いて、「この人はこういうパフォーマンスができるんだろうな」とか「こういうことが将来的にできるんだろうな」と、再現性に期待して採用させていただいているので、入社後の活躍も一定はその延長線上になると思うんですよ。
それに比べて完全にポテンシャルを信じて採用する新卒は不確実性が非常に高くて、どう化けるかわからないという感覚があります。前職はかなり新卒プロパー文化が強い会社だったので、「化ける瞬間」をたくさん目にしてきました。「入社の時のイメージでは全然わからなかったけれど、今めちゃくちゃ活躍してるじゃん」みたいな人が出てくる。そうした、いろいろな可能性を秘めている人たちに機会を渡すことで、当初の予想とは全然違う方向でめちゃくちゃ化ける、みたいな瞬間を見られるのは新卒だけだと思っています。
特にいまのタイミングで新卒採用に踏み切る理由としては、3年後のニーリーの姿を見据えています。いまの事業成長を考えると、近いうちに3桁億円を超えてくると思っています。そこから成長率を維持してさらに100億以上成長させるのってめちゃくちゃ大変だと思うんですよ。そうなったときに、新卒が入社してから化けてくるのに2~3年かかると考えると、今のタイミングで採用したら事業の踊り場と新卒がパフォーマンスが出せるようになるタイミングが重なるんですよね。なので今このタイミングで新卒を採用して、将来の事業に対してさらなる進化を起こしてくれるような体制を目指したいなと思っています。
——就活中の方に向けたメッセージをお願いします
◾️いま投資できる”時間”という資源にどうレバレッジをかけるか
元LINE人事の青田さんのまとめがとてもわかりやすいなと思っているのですが、いま新卒のみなさんが持っている資源として特に重要なのは時間です。年齢を重ねてライフステージが変化していくと、仕事に対して自由に投資できる資源がどんどん減っていきます。
※ 青田努氏:「いいキャリアとは」
この限られた時間という資源に対して、いかにレバレッジをかけるかが今後のキャリアを決める上でも非常に重要であり、それを「決断回数」に対して投資してほしいと思っています。
いまのニーリーには多くの決断の打席数と、それを最大限活かせる環境が整いつつあります。新卒でいきなりスタートアップに飛び込むことへの不安はあるとおもいますが、いまの自分から何かを変えたい、もやもやしているエネルギーを全力でぶつけられる環境に身を置きたい、と考えている学生さんはぜひニーリーの門戸を叩いてほしいです。
皆さんと面談や面接の場でお話できるのを楽しみにしています!
株式会社ニーリー CHRO 髙橋 俊樹 Toshiki Takahashi
2015年株式会社リクルート住まいカンパニー(現株式会社リクルート)に入社。自社採用担当として新卒採用を担当したのち、採用統合における採用要件定義の策定や選考設計などを含めた全体統括を務める。2018年より親会社(株式会社リクルート)の人事戦略部に出向。PMとして全社のデータドリブン人事を推進し、全社表彰(FORUM)を受賞。2019年、美容事業の事業企画に異動し、中期事業計画の策定を担当。2021年GMに就任し、中長期戦略の立案・実行を牽引。2021年10月より、ニーリーに参画。CHROとして採用/労務/広報/総務/戦略人事の部門を管掌。